〜イマジネーション宇宙〜

　　　　　　　　眠り

当たりまえのように　繰り返していながら
いつの頃からか　千夜を煩わすもの
幾千の朝の目覚めより　はるかに得難い
ひと夜の　ささやかな眠り

眠ればいい　目な蓋を閉じるのだ
数えきれぬほど　呟いてきたのだが
泥のように　疲れはてるまで
訪れはしない　眠りの気配

なぜ　眠らなければならないのか
なぜ　眠ることでしか蘇生しないのか
宇宙の瞬きほどもない　この一生に
気の遠くなるような　朧げなる疑問

誰にも　訊ねはしなかったし
この先　訊ねることもないだろう
眠りの意味など　知らなくてもいいのだが
上手な眠り方を　忘れてしまったのだ

眠りとは　不思議なるもの
不思議とは　思議できないということ
いまだに　全容を現わさぬ
生命の　神秘のひとつ

知るほどに　遠ざかる真実もある
ならば　観ずればいい
観ずることでしか　理解できない事象が
この世には　幾多と存在する

眠りが　深遠に達するとき
肉体をいとおしむ　念いは失せる
時間の感覚もなく　空間の広狭もない
その一瞬にこそ　郷愁の本質はある

忘我の眠りは　新たなる活力へと替わる
その事実が　宇宙をイメージさせるのだ
深き眠りのひとときを　想像してみる
たぶん誰もが　宇宙の腕に抱かれている